裸の女と服を着た男たちが野外で集う「草上の昼食」の女性のこちらをじっと見る視線が
隠されて秘めたことを取り繕う私たちの心に訴えてくるような感じです。
この視線は「オランピア」の娼婦もしていて
綺麗事だけで無い、真実の姿を直視するように求めていますね。
その一方で、都市化が進むパリは、全く縁もゆかりもない他人と多く接することが多くなっていったようです。
そういう人同士はなんとなく疲れ、視線を合わせようとはしません。
人が隣にいても、見ているものはそれぞれ違う。
そのような感覚を「バルコニー」の男女でうまく表現していると思います。
人間同士の関わり方が少し希薄になってきて、孤独であることに疲れているようにも見えます。
「フォリー・ベルジェールのバー」では、それが一層深まっていて、
美しいバーメイドの視線は自分自身の存在を認めてくれる誰かを求め疲れている感じがよく出ています。
画面の正面から捉えた女性の姿と、斜めから捉えた鏡越しの男性との関わりの両方が描かれていますが
バーに売っている商品や自らもサービスを提供する商品としてしか人と関わることしかできない人間性の喪失という感じで描かれて いるように感じました。
エドゥアール・マネが少し好きになりました。
2010年06月06日 20:29 by watasitotaiwa
Copyright(c)1999 FC2, Inc. All Rights Reserved.
@fc2infoさんをフォロー