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幻想・神秘・怪奇の世界

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夢 -dream-

夜の夢

わたし自身の眠りがわたしの喜びを与えてくれたことは、これまで一度もなかった。他の人がぐっすり眠っているのを見るのはよい けれども、自分自身が眠っているというのは嫌なものだ。目を閉じるなり、わたしは、入ってくる電気の量が多すぎて苦しむ電線の束 のようになってしまう。日中ならば、流れ込んでくる不愉快なものを拒むことのできるけれども、夢の中では、拒んだり受け入れたり するわたしがいない。それにしても、わたしは夜どこにいるのだろう。わたしの夢を見ている人の夢の中にでもいるのだろうか。

「たぶららさ」 多和田葉子『きつね月』


夢という名の異世界についての記録簿です。

2010年02月11日 13:39  by progfanta

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