加藤秀俊著「取材学」中公新書
我々は単行本一冊に匹敵す情報量を持つ新聞を朝の慌ただしさと同時に15分程度で読める。それは目のくらむほどの情報から必要 なものだけを厳選しているからだ。
学ぶことは、収集することであり、現代の入試用の暗記は本来の勉強の姿とはかけ離れていよう。
問題を発見する契機となるのは、常に、好奇心であり、個性である。そして、この情報社会では、実に、その傾向に行きがちになる はずなのだ。しかし、現代人は情報の編集が下手である。
情報を集める、すなわち、取材という行為は何も限定された職種の特権ではない。主婦がスーパーで野菜を選ぶ時、子供が駄菓子を 決めあぐねている時、若者がネットでなるべくCDを安く買うために比較している時。これら全てが専門的な取材と変わりない次元の ものだ、
難しいことを言っている訳ではない。情報を集めることは、確かにこの情報社会では途方のないことのように思われる。だが、それ は、闇雲に辺りの情報に目を向けるからだ。些細な情報だって、立派な種なのだ。自身の興味のあること、好奇心が産まれるもの、そ ういった情報から、問題を作り、解決まで導く。この行為が勉強であり、誰にでも出来ることであり、しかし、現代人が忘れているこ とでもある。
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