悪ノ娘〈2〉
買い物を終え、城に帰る道―――。
どこからかクスクスと楽しげな笑い声が聞こえた。
この国にも、そんな人がいたのだと思うと興味が湧いた。
顔を一目見てみたいと思った。
「そうですね、また一緒に買い物でも」
緑の髪の女だった。
綺麗だな、とは思った。
「君といると楽しいよ。ぜひ、また一緒に行こう」
彼女に微笑みかけられた、男性が笑顔で答える。
ドキン
彼の笑顔に心臓が大きな音をたてた。
一目惚れだった。
彼は海の向こうの国の皇子だと分かる。
前に1度会ったことがあるのだ。
「ねぇ、レン。私……彼の事が好きみたい。ぜひ、我が国に迎え入れたいわ。……ねぇ、レンどう思う?」
傍らに居るレンに問いかける。
もしかしたら皇子は、緑の女に恋をしているのかもしれない。
……それでも、レンに「大丈夫だよ」「何とかなるよ」って言って欲しかった。
それなのに―――。
「……え?どうしたの??」
彼の目は、緑の女に釘付けだった。
その時、心に湧いてきたものは「嫉妬」だった。
どうしてあの女が―――?
海の向こうの国の皇子だけならず、レンまで―――?
どうしてッ!?
アイツが憎い。
許せない。
―――数日後。
「緑の国を滅ぼしなさい」
静かにレンに告げた。
感情など無かった。
そう、これは粛清なのだ。
「了解しました」
レンはそれだけ言い、静かに私の前を離れた。
2011年04月04日 11:30 by 桜川キョオコ
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