悪ノ娘 〈3)
そして幾多の家が焼き払われ、幾多の命が消えていった。
もちろんあの緑の娘も。
レンは静かに帰ってきた。
私は、何も聞かなかった。
「今日のオヤツは何?」
レンは穏やかに笑った。
「ブリオッシュだよ」
モヤモヤしたわだかまりを、心の隅に押しやって笑った。
とても無邪気に。
けれどレンの表情は晴れなかった。
「あの王女、許せねぇ!!」
「そうだそうだ、あんな横暴許せねぇ!!」
ついに民衆の不満が爆発した。
「今こそ、女王を倒す時だ!!」
「「「おぉ――――!!!!」」」
烏合の彼らを率いるのは、赤き鎧の女戦士だった。
彼女も、彼氏を王女のせいで亡くしたのだ。
その怒りは国全体を包み込んだ。
ついに王宮は囲まれて、家臣たちも逃げ出した。
2011年04月04日 11:31 by 桜川キョオコ
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